徽号か諡号か

〔六〕醍醐天皇贈位諡號勅書

官職に相応して位階を賜った。この時出す文書を位記という。醍醐天皇が、園城寺開祖円珍に、僧官の極位法印大和尚位を贈り、智證大師の徽号を贈られたもの、ということですが、「故天台座主少僧都円珍」とあるので、生前の徽号ではなく、諡号(しごう、貴人・僧侶などに生前の行いを尊んで贈る名)ではないでしょうか?

位を賜ったから位記であるが、徽号を賜っているので、勅書とも称すべきものである。後世このように徽号を給うときには勅書をくだされた。図版はその例で、明応六年に大徳寺塔頭大用庵主實傳宗眞に、生前、佛宗大弘禅師の号を賜ったもの。

〔七〕稱光天皇諡號勅書

称光天皇が、応永廿年三月廿三日、山城賀茂正伝寺の開祖東巌慧安に宏覚禅師の諡号を贈られたときのもの。蒙古襲来の折り、敵国降伏の祈願をしたことで有名。御画日は、図版の「十四」二字とは異なり、「廿三日」の三字となっている。