天皇御璽の内印のありなし

位記については、

勅授 五位以上

奏授 六位以下

判授 外八位及び内外初位

の三通りの書式が公式令に挙げられている。しかし、奈良時代の位記の実物は伝わっていない。位記の実物は、前記園城寺の開祖円珍の僧位記が最も古いもの。

〔一二〕僧圓珍授傳燈滿位位記

天皇御璽の四字の内印(ないいん。天皇の印章)が五顆捺してある。大きさは方二寸九分(8.787㎝ってところでしょうか)印のなかで最も大きい。篆書。

一般の位記においても五位以上は勅授であったので、おそらく内印が捺してあったと思われる。円珍の僧位の位記で内印の捺してあるものは、その位が五位以上に準ずるものとして取り扱ったものであろう。しかーし。図版に挙げた位記は、〔一二〕の位記より高い位のものなのに、内印がなく、内侍之印が捺してある。なぜでしょうか?