縹紙、はなだがみ、藍染の和紙

公式令には、前記三種の位記が挙げてあるに過ぎないが、延喜式中務省の条に多く挙げられている。神位位記式、僧綱位記式、僧尼位記式、延暦寺棲山一紀僧位記式、五位以上位記式。

神位位記式。実物伝わる古いものはない。

僧綱位記式。勅書の項で挙げた円珍の智證大師の徽号を諡られたもの。

僧尼位記式。〔一二〕円珍の位記です。僧や尼の位記ということでいいのでしょうか?

延暦寺棲山一紀僧位記式。図版にしめしたもの。

五位以上位記式。〔一三〕藤原公實叙従二位位記。とありますが、正二位では?

 

〔六〕の位記は当時大内記であった小野道風の筆跡である。

〔一一〕は牛巫明神の位記である。上記神位位記式だけれども、実物でも古いものでもないということでしょうか。

五位以上の位記は、平安時代のものは朝野群載などによって知るに過ぎない。実物の伝わる最も古い例、西園寺公名の公名公記の料紙の中に続いである、永享二年(1430)正月六日附のもので、料紙も縹紙(はなだがみ。藍染の和紙)であり延喜式に従っている。

〔一四〕は、毛利元就従五位下に叙したときのもの。料紙は縹紙に似たもの。公卿がならぶなかに、「征夷大将軍従三位権大納言臣(足利)義晴」の名が見えてます。

東京上野の輪王寺には、徳川歴代将軍の賜った位記の実物がたくさん伝わっている。同山内将軍家廟所にもと納まっていたものであるという。これらも大体延喜式に従って作られている。とのことです。