「仏物」「僧物」

〔四四〕伊勢国多度神宮寺の縁起資財帳、末尾に検察すなわち伊勢尾張両国の国師と僧綱所の署判が加えてある。これによってこの注進に證文としての効力がついた。

料紙は、横罫を以て天地をとり、その中間に横罫を一線引いてその上部に横罫線を引き、竪にまた罫を引いたもので、この竪の罫一行の中に一行づつ文言が記入してある。字面には「僧綱之印」が二百四顆捺してある。紙継目八か所があり、その表ごとに同印が一顆づつ捺してあり、紙面は実に整然たる貌を呈している。なお、縁起資財帳は、当該寺院と僧綱所と国衙との三か所に一本づつ備えておくべき規定であったことが、わかる。とのことです。

当時における印が、いかに字面、紙面に正確さを持たしめるはたらきを表すものであったかをしることができる。

笠松宏至氏の「仏物・僧物・人物」の「仏物」「僧物」が文書中にでてきます。