「牒」と書くか、「下」と書くか

牒の特質 移は相管隷しない官司の間に用いることに限っていた。ところが牒は、差し出す側に官司もしくはこれに準ずべき者があり、受けるべき側にも範囲に限定をみない。所管・被管の関係に無い者の間で取り交わすものとなり、従来の移の性質に成り代るようになった。他方、上位の者から下位の者に下す下文という文書と共に用いられてきた。書式に於いては、牒も下文も全く同一で、ただ「牒」と書くか、或は「下」と書くか、僅かに一字の表し方如何によって、文書授受者の位置が、所管被管の関係にあるか、或は然らざるかの区別を截然(せつぜん)と表していたのである。かような次第で、この両様の文書の意味を明確に識別しておく必要がある。とのことです。