個人から出す牒もある

以上述べてきたのは、官司もしくはこれに準ずべき者から出す牒に関するものであった。牒には、このほかに個人からだすものもあった。公式令に、内外の官人主典以上が、事に縁って諸司に申牒する文書の書式として牒式が挙げてある。

書き出しに「牒す」と記し、書き止めに「謹牒」で結び、次に年月日を記し、その下に差出者の位署を加え、名の下に牒の字を添える書式である。なお、三位以上の場合には名を去(す)てるとあるが、これは略名式ではなく、官位姓だけを書く書式を示すものと思われる。とのことです。