太政官から奏聞して勅裁を仰ぐ、奏

第八類 奏 奏は、太政官から事を奏聞して勅裁を仰ぐために上げる文書である。公式令に奏聞する物事の軽重によって、論奏式、奏事式、便奏式の三種に分けている。奏の正文は伝わっていない。六国史もしくは類聚三大格に収めてあるものによってみるにすぎない。

〔五六〕は論奏式の一例。公式令によると、太政官謹奏と書き始め、次に奏する其事を記載し、次に太政大臣左大臣、右大臣、大納言が位署を加え奏聞する文章となっているが、実例では、太政大臣以下の位署がどこに入るのか明らかでない。元はどこかに記してあったが、編輯するとき省略したものであろう。日附の次にある「聞」の一字は、詔の覆奏の時加えさせられたものと同じく御画と申し上げ、奏上を聞召さられし趣を宸翰を染めて表されたものである。なお、公式令によると、御画を受けた次行に、大納言が位署を加えるのであるが、実例にはこれも見えない。上と同じ事情によるものだろう。とのことです。