太政官奏の奏事式と便奏式

〔五七〕は太政官奏、奏事式の一例。類聚三代格。

公式令によると、年月の次に太政大臣以下三公大納言の位署があり、次行に「奉勅依奏」と裁定せられし趣を、もし勅語があれは、その趣を記し奉り、次に大納言が位署を加えることとなっている。奏事式には、御画のことは、見えていない。

挙げた実例には、三公以下の位署がなく、「奉勅依奏」と記した次に、日附が書いてあり、日附の次に大納言の位署がない。このように公式令と著しい相違がある。一度編輯したもので、文書の原形を完全に具えているとも思われないから、公式令延暦年間の書式とに相違があったのか、的確な判断を下しがたい。

便奏式は、公式令によると、三公以下の位署なく、日附の次に勅答を記し奉り、次行に少納言が位署を加えることになっている。今古い時の実例は伝わっていないようだ。

なお、論奏式と奏事式と区別するときは、御画の有無に依って判断すべである。とのことです。