解と処分状との中央に「毀」の一字

解と処分状との中央に「毀」の一字を大書し、その上に職印が捺してあるのは、この後延喜七年十月十日に、さらにこの家地の売買があって、同様の手続きをとった時に加えたものであろう。

「毀つ」とは、売買の行為を証拠づける文書の効力を否認する意味であろう。新たに売買の行為が行われたのであるから、前の文書の効力を認めない処置をとったものと思われる。

しかもそのように破棄した文書を、さらに証文として次第に伝領していく所以は、その家地の所有権が転々として現在の売主の所有となるに至った来歴を示す証拠物として、永くこれを保存する必要があったからである。とのことです。