辨官が上卿からの伝宣を受け、出す宣旨

次に辨官において上卿から伝宣を受け、その旨をさらに伝宣する次第を説く。

  造東大寺長官右中辨兼中宮大進藤原朝臣為隆

   次   官  中  原  朝 臣 義経

   判  官  右 少  史 中 原 眞重

   主 典 宮 内 少 録  惟 宗 成國

  右中辨藤原朝臣為隆伝宣、権中納言藤原朝臣宗忠宣、奉 勅、件等人宜補任之者、

      天仁二年三月卅日    右少史中原(花押)奉

  「(異筆) 奉行    同三年六月十五日

  別当権少僧都           都維那法師「厳慶」(自署下同ジ)

  上座威儀師「崇源」

  権上座大法師「朝秀」    

  寺主大法師「賢快」

  権寺主大法師「林幸」

ここに挙げた文書は、上卿権中納言藤原宗忠が、職事から右中辨中宮大進藤原為隆以下四人を造東大寺長官以下に任ずる勅旨を受け、これを更に消息を以て、右中辨藤原為隆に伝え、為隆が更にこれを右少史中原某に伝え、中原某がこれを伝宣するために作ったものである。文書の内容が造東大寺官の補任に関するものであるにより、その正文を東大寺に送致し、この送致を受けた東大寺の三綱がこれを奉行した由を、文書の奥に記載し、これによって勅旨が完全に伝達せられたのである。この右少史中原某が奉って出した文書を宣旨という。とのことです。