消息そのものも伝宣を受ける者に下されることがあった

上は口宣案であるが、また消息宣下の間に作る消息そのものも、伝宣を受ける者に下されることがあった。その一二の例を示すに、

  献上

   宣旨

    高野山金剛峯寺衆徒等申請、特蒙 天恩當山根本大塔修造料淀津関米半分、永

    代被寄附由、被成下官符事、

   右宣旨、可令下知之状如件、

     (応長元年)十二月八日      宮内卿資榮奉

    謹上 三條中納言(公秀)殿

の如きものがある。蔵人頭源資榮が、上卿中納言三條公秀に、金剛峯寺に同寺大塔修造料淀津関米半分を寄付すべき太政官符を出すべしとの宣旨を宣下した消息である。蔵人が出したものであるから、料紙は宿紙を用いている。この場合には単に消息宣下ばかりではなく、上卿、辨官に下知して、官符が出たのであるかもしれないが、とにかく蔵人頭から上卿に充てた消息の正文が金剛峯寺に下されたのである。とのことです。