下文を分類すると

下文を作成して差出す当事者は、各その位署を整えて花押等を加える。その箇所は、日附の下、もしくは日附の次行に書くものであった。なお日附の次行に表すときは、上下二段に亙るものと、上部のみのものと、下部のみのものとの三様があった。

さらに文書の右端の余白、すなわち右の袖に花押を加えるものもあった。この袖に花押を加えたものが、日附の下もしくは次行に当事者が位署を加えたものであるときは、袖の花押の主は日附の下等に位署を加えた者等の上に立つ人である。これは部下が作成した文書を上に立って承知せる意味を表し、兼ねて差出者側の者であることを、相手方に示しているのである。さらに日附の下、或いは次行に位署を加える者がなく、単に右の袖に花押を署して、その下文の差出者が何者であるかを表しているものもある。このように位署署判の加えてある箇所によって、また下文を分類することも可能である。

日下署判下文 日付の下に位署のあるもの

奥署判下文  日付の次行は奥に近いところであるから

奥上署判下文 奥署判の上部にあるもの

奥下署判下文 奥署判の下部にあるもの

袖奥署判下文 奥と袖との両方に署判の加えてあるもの

袖署判下文  袖のみに署判の加えてあるもの

しかし、差出所記入式のものは、その差出所により一応差出者が何所であるか表してあるから、これによって類別し、非記入式のものは、専ら署判によって差出所が表されているのであるから、この式のものを、上記署判の位置による区別に従って類別することとする。なお、各種別の中は、官制等の次第を考慮して排列する方法をとることにした。とのことです。