捺印したもののある社寺の下文

書式においては、前掲の院庁下文と同じであるが、字面に「八幡宮印」とある朱印が五顆捺してある。下文の系統の文書には、元来捺印を見ないのであるが、前述した国司の庁宣の初期のものと、この社寺の下文には捺印したものを見る。

なお神社の下文には、のちの時代に及んでも捺印しているものが往々ある。これは印が永く伝統的に用いられて、紙面を正確にしたのであるが、また印が一社の権威の表徴と考えられ、これを捺すことによって一社の総意をそこに表したものと思われる。とのことです。