印を捺した政所下文は社寺に限る

〔九七〕は、仁安二年二月延暦寺政所から末寺感神院領丹波国草南條波々伯部村に、年貢徴収使昌玄の入ることを止めて、桓圓という者の沙汰によって、年貢を進納するように命じた下文である。

この政所下文に「延暦寺政所」の五字を印文とした朱印が十六顆捺してあることは注意を惹く。蓋し符には印を捺す形式のものであったから、政所下文となってもその形式に従ったと見るべきであろう。惣じて政所下文にして印を捺したものは、社寺のものに限っているようである。やはり古い伝統が永く伝わったためであろう。しかし社寺の政所の下文が必ずしも印を捺すとは限らない。とのことです。

 

※波々伯部(ははかべ・ほうかべ)山之内すずさんの母の旧姓が「ほうかべ」だったそうです。