下知状と下文変形文書

叙上下文の一項を立てて、官宣旨に系統を引く下文の各種形式のものを順次説明して武家の袖判の下文に及んだ。この系列の中に於いて、袖判を加えた下文の出現は、書式の上に於ける著しい変化ではあるが、尚書き出しに下と記し、その下に充所を記している。従ってこれを当然下文と認むべきであり、当時に於いても左様に呼んでいた。然るにこの袖判の下文が、さらに一転化して生じたと認むべき一種の下文が現れるに至った。また広く下文と称するものの中から、下知状と称する一種の文書が発生した。これら二種の新しい文書は、いずれも下文に系統を引くものではあるが、形式上純然たる下文と多少趣を異にしているのみならず、後には私文書と認むべき消息書状と関係を持つに至ったものもあるから、別に下知状と下文変形文書との二項を立ててこれを述べなければならぬ。とのことです。