「許」の字、実は同筆

即ち戒を受けんとする人から願出で之に対して許可の返事を加える形式の文書と見るべきものである。文中三箇所にある「慶清」は、何れも慶清の自署であり、十人の戒師の下に「許」とあるは、その人が各自筆を以て加うべきものであろう。本文とは異筆ではあるが、許の十字何れも同筆の如く思われる。之は一人の筆に依って形式的に加えられたものであろう。和上壹賢以下位署の中の僧名二字は各自署せるものである。後世室町時代の小乗戒の戒牒になると、許の字は本文と全く同筆である。始めから本文の部分として書き表すこととなっていたと見るべきである。とのことです。