外印に代って延暦寺の寺印が捺してある

即ち〔二一三〕に挙げたのは、天延二年閏十月廿一日成典が受けた戒牒であるが、師主の自筆の証言が無く、座主以下同寺三綱が浄戒を授け之を永く公験となす旨を記している。而して俗別当の証判を欠いている。この戒牒には外印に代って延暦寺の寺印が十顆捺してある。此等請印のあることも小乗戒の戒牒と異る点である。時は遥かに降るが、正平年間筑前国観世音寺戒壇院から出した戒牒の断簡が、今太宰府神社所蔵文書の中にあり、之は勿論小乗戒の戒牒であるが、観世音寺の寺印が数多捺してある。とのことです。