藤原種嗣の公的性質を帯びた啓

第二式

(略)

この文書は近衛員外少将藤原種嗣が、東大寺一切経書写の校生(校合に当る者)を貢進するために出した啓である。種嗣の二字のみ自筆にて書し、他は右筆の書いたものである。且つ差出者の位署が、日附の次行となり、而も上判となっていることは、この文書の差出者の地位の高いことを示している。又図版に就いて見る如く、文字の排列と云い、その書風と云い、一般の公文書と異なるところが無い。啓と云っても、その差出者の地位如何に依って、公的性質の形式を帯びるものであることがわかる。之は後に挙げる啓・状の図版と対照すると一層明らかに理解することができる。とのことです。