上咋麻呂の文書、啓の文言無し

この種に入る啓は、余り多く伝わっていない。僅かに部類〔二三六〕に挙げたものがあるに過ぎない。日附に年号を欠き、又啓の文言の無いものも無いのである。

 

第三式

(略)

これは、上咋麻呂と云う者が、左右兵衛士府の官に任ぜられんことを請うために出した文書である。その書式の特徴は始めに差出所があり、且つ日附の下にも之がある点である。かかる書式のものは類が稀であって、ここに挙げたもの一通あるに過ぎない。啓の文言は無く、日附に年号を欠いている。第一式の中に挙げた和雄弓の啓と同様多くの謙語敬語が注意を惹く。とのことです。