自己を卑下して表した言葉、謙語

なお差出所の一部に自己を卑下して表した言葉、即ち謙語とも云うべきものがある。之は先に例示した諸例にも散見している。その言葉を挙げるに主奴麻柄全万呂、公奴猪名部牧虫、末奴下道主、奴咋麻呂、奴代鳥取國万呂、下民長江田越麻呂、下情上咋麿、下任安都雄定、図書卑任大隅公足、坤宮後坐三尾隅足、下族式部下官葛直継、下僧正美、旅僧誠(敏の下に心)の如きがある。下任、卑任、後坐、下官とは下級の官吏と云う意味を表しているのである。かかる謙語は、後世の書状消息には姿を消している。この時代の文書の特徴である。とのことです。