漉き返しでなく薄墨に染めた宿紙

この後京都御還幸迄に出された綸旨の料紙は悉く普通の紙の大きさのものであるが、中に白紙を用いたものがある。之は行在所に於いて宿紙を充分備える便宜を欠いていたに依るものと拝察される。尚吉野時代に於いては、宿紙を用いてもそれが漉き返しのものでなく、薄墨に染めたものがあるが、之は尋常の宿紙が払底して、簡略の方法に依って宿紙を作った為と思われる。とのことです。