四代七十三年間使用された他に類のない北条氏の虎ノ印判

従来虎ノ印判の初見は、この最勝院の永正十七年の禁制であったが、近時田方郡木負(きしょう)村に伝わった文書の中に永正十五年の文書に捺したものが現れた。永正十五年は北条氏の初代長氏(早雲庵宗瑞)の存生中であるが、長氏はその頃既に家督を氏綱に譲っていたと思われるから、この印は氏綱の許に具えていたものであろう。氏綱からその子氏康、その子氏政、又その子氏直と天正十八年同氏滅亡に至る迄、四代七十三年間連綿としてこの印を使用した。かように一種の印を長く使用したものは他に類がない。この印は北条氏の家印に当たり、当時に於ける家印の代表的なものとして挙げることができる。とのことです。