2024-08-25 珍しく年号計りで月日を欠いている徳川家康の摂津正玄寺充ての禁制 〔五三五〕は、遥かに降って、慶長十九年かの大坂冬役に、徳川家康が摂津河辺郡正玄寺の寺内に下した禁制である。この日附は珍しく年号計りで月日を欠いている。かかる例は余り多くない。その慶長十九年の上部に、方二寸九分、重郭、印文「源」の一字を上に、その下に「家康忠恕」の四字を二行に配した、実に堂々たる朱印が捺してある。従来家康の此朱印は、前記異国即ち南洋方面の貿易に赴く御朱印船の許可状に専ら捺したものと云われているが、実は然らずしてこの禁制にも捺しているのである。とのことです。