宗麟の子義統は、殆ど印を用いていない。唯天正十三年に一種の印を用いている。それを捺した文書の一例が〔五八一〕である。同年九月六日、由布美作入道が戸次道雪に従って軍忠を抽でたのを賞するために出した感状である。義統の名字の下に方一寸八分の大きな朱印が捺してある。印文は明らかに致し難い。恐らくこの印は、義統が花押を加えるのに不便なことがあって、臨時に暫く用いたものであろう。天正十三年前後に多くの文書を出していながら、この年以外のものに印を捺した文書の無いところから、かように推定して誤りはないであろう。とのことです。