「首里之印」よりはるかに小さい室町時代中期を降らぬ琉球国王の印

中山王琉球国の字面に、各印文「首里之印」とある方三寸の朱印が捺してある。この大きさは先に記した義久のものと略々同じである。蓋し彼我印に対抗する意識を現しているものと思われる。先に少しく述べた三司官の印は、「首里之印」よりは稍々小形のものである。

右に挙げたものは琉球から明らかに島津家に送ったものであるが、右と大いに趣を異にした琉球代主即ち国王から出した文書も伝わっている。即ち、

(略)

琉球から交易船の来着の事に関して然るべく依頼するために出した書状と思われる。進上と上所が書いてあるが、充所を欠いている。代主の字面に、「首里之印」の朱印よりははるかに小さい、上の如き朱印が捺してある。この文書は紙質書風等から判断するに、室町時代中期を降らぬもののようである。この朱印から次に「首里之印」を用いたものと推想せられる。なお之に就いては後究を俟つこととする。とのことです。