扨て海外関係の文書を離れて、なおこの部類の文書に就いて説くべきものがある。即ち奉書式印判状にして、差出所にこの形式をとった文書がある。左に示す図版はその一例である。
(略)
駿府中村氏の奉行横田村詮が、その領内各郷村に出した法度である。年貢の割合夫役等、当時の民政に関する掟が詳細に示してあり、江戸幕府民政の根本史料となるものである。差出所に官名を書き、花押を据え、その花押の面に竪細長の朱印が捺してある。印文は「村詮」の実名をとり、極めて小形のものである。この後かような奉行の出した掟書、手形と称する証状に、かような形式をとった文書が屡々現れるようになった。とのことです。