以上印判状の各種形式に就いて一通り解いた。なお叙上の中、特に注意すべき諸点を少しく摘記しておく。此等印判状の中、奉書式のものは東国地方の大名のものに限っていた。近畿西国地方の大名は、この印判状が東国地方に盛んに用いられていた頃、印を捺さない年寄奉行等の従来の奉書を出していた。この相違は両地域に於ける武家文書の地方的特色とも見るべきものであった。然るに奉書式印判状は、先に述べた如く慶長の初頭を以て終りを告げ、ここにこの式の文書に依って見るべき地方的特色は消え、之から後は何れの地方に於いても従来の奉書が行われるに至ったのである。とのことです。