平安時代の中期以後、摂政、関白、大臣に任ぜられると謙譲の意を表し二度三度と拝辞する儀礼であった

次に〔五九三〕は後堀河天皇の御代、摂政近衛家実が摂政を拝辞するために奉った初度の表である。〔五九四・五九五〕は再度三度の辞表である。平安時代の中期以後、摂政、関白、大臣に任ぜられると謙譲の意を表して、之が拝辞の意を申し上ぐる慣例となった。初度の表を上って聴許無ければ再度三度と之を繰り返す儀礼であり、三度目の上表に対して御返事がある。之が〔五九五参考〕に挙げた勅答であった。この勅答を拝して辞意を止めてその任に就くことになるのである。大臣以上に於いてはかように儀礼を尽くして就任するのが、一つの慣例となるに至ったのである。とのことです。