〔六〇二〕は、康和三年正月六日、正六位上藤原守信が、叙爵即ち五位に叙せられんことを請うために出した申文である。本文の書出し書止め共に書札様の書式をとり、いと鄭重な書礼を表している。かように叙位任官を欲するために出す申文を款状と云う。〔六〇三〕は嘉暦二年三月、石清水八幡宮護国寺権別当田中定清が、権少僧都に転任せられんことを請うために出した申文であるが、之を「款状草」と端裏書に記している。草は差し出したものの下書の意味である。とのことです。
※〔六〇二〕で藤原守信が始祖宇合から十二世までの式家歴代を挙げている