伊賀国在庁官人が悉く位署を連ねた鄭重な書礼の申状

 国司国衙に上りし申状

〔六二一〕に挙げたのは、保安三年二月、伊賀国在庁官人等の申状である。東大寺領伊賀黒田鞆田玉瀧三箇所の住人は、国衙の領地に進出して公田を耕作していた。之を公田を出作すると云う。而してその年貢は、率法段別三斗と定むべきであったが、住人は之を二斗に減ずべしと云い、ここに国衙の在庁官人との間に相論が起こり、住人がその主張を固執して譲らなかったので、在京の国司にその裁断を仰ぐために出したのがこの申状である。在庁官人悉く位署を連ね、鄭重な書礼をとっている。とのことです。