かくの如く庄園の住人から上った申状は、寺院の文書の中に多くあり、庄園に関する事実を、これに依って多く知ることができる。庄園が損亡即ち風水害のために、米が実らなかった時には、領家から使者を下して之を検査した。之を検見と云う。この検見の結果に基づいて、年貢の減少の程度が定められた。〔六三一〕に挙げた文書は、東寺領播磨矢野庄の名主百姓等が、損亡に就き年貢の減額を愁訴したが、それが聴き入れられず、且つ領家からこの検見の使者も下されないから、作毛を上申す、即ち上地する由を申し上ぐるために出した一種の申状である。とのことです。