上の図版に挙げた忠通の請文にては、実名若しくは草名を加うべきところに明らかに花押が据えてある。之は実名から草名、草名から花押へと移った順序を示すもののように思われる。然し当時花押が用い始められたが、実名、草名、花押三種の用い方に、それぞれ差別があって、忠通の位置にある者の請文にては、実名若しくは草名にては相応せず、花押を用いべきであったとも考えられる。花押が現れてから、之と実名并に草名との使いわけが文書に現れてくるのが、この時代に於ける特色と云うことができる。とのことです。
上の図版に挙げた忠通の請文にては、実名若しくは草名を加うべきところに明らかに花押が据えてある。之は実名から草名、草名から花押へと移った順序を示すもののように思われる。然し当時花押が用い始められたが、実名、草名、花押三種の用い方に、それぞれ差別があって、忠通の位置にある者の請文にては、実名若しくは草名にては相応せず、花押を用いべきであったとも考えられる。花押が現れてから、之と実名并に草名との使いわけが文書に現れてくるのが、この時代に於ける特色と云うことができる。とのことです。