鎌倉時代から室町時代に多く伝わる始めから引受けるために出した請文

次に始めから引請けるために出した請文の例を示す。〔六七四〕は正安二年七月廿一日、東大寺領伊賀黒田庄下司大江泰定が、その父の時召し上げられた下司職に補任せられたので、今後は寺家のために忠誠を致すべきことを引請くるために出した請文である。之には誠意を強く吐露する手段として起請の詞を添えている。〔六七五〕は同三年十月二十日に、黒田庄内田地二段の作主職を持っていた大江清光と申す者が、所当即ち年貢を三石二斗毎年相違なく進納すべきことを引請くるためにだした、作主職の請文である。かかる請文は鎌倉時代から室町時代に亙り極めて多く伝わっている。とのことです。