第四類 表白
祈願の意趣を書き、次いで咒願文を副えた願文を表白と云う。咒文のみを表白と云うこともある。右に掲げた文書は、賀茂正伝寺の東巌慧安(宏覚禅師)が、文永七年五月廿六日、かの蒙古襲来の風説を耳にし、兼ねて之を攘い除かんがため、八幡宮に参篭して祈請を籠め、結願の日に当たり、読み奉った表白である。終わりの三行が咒願文に当たるのである。なおこの表白には、字面六箇所に慧安の私印が捺してある。願文表白に捺印を見るのは、極めて稀らしい例である。紙面を正確にするは申す迄も無く、又捺印に依って強い決意を表明したものと思われる。便宜本文は〔七二〇〕に収めて置く。とのことです。