自筆書と右筆書、「殿」と「とのへ」

二 花押のみを書いたもの

この書式には、先づ文書書止めに敬語がなく、何々「候也」と結んでいるものがある。〔一〕は足利義教の自筆の書状で、その一例である。〔二〕も之と同じ書止めのもので、足利義輝の右筆書の書状である。此等を何れも御内書と云う。前者と後者との間に於いて、自筆書と右筆書との相違がある計りで無く、充所の敬語が「殿」と「とのへ」と書きわけてある相違もある。