中世に発達した書札礼

中世時代に発達した書札礼は、この書札様文書の各書式を中心にして、文書作成上の儀礼を示すために起こったものである。従って書札様文書に就いて述べる時は、この書札礼と連関して観察を進めて行く必要がある。

然し、中世の書札礼が現れて来る前の時代にも、書札様の文書があった。即ち奈良の正倉院文書の中に伝わる奈良時代の直状、并に平安時代中期頃迄の直状がそれである。此等の文書と雖も、当時何等書礼に従うこと無しに作ったものでは無い。支那から渡った書札礼、即ち書儀に則って書いたものもあったであろう。とのことです。