藤原明衡の明衡往来またの名雲州消息

而して書礼と雖も公の文書と関係があって、既に屡々引用した公式令に挙ぐるところの公文書の書式に準じて作ったものもあるであろう。平安時代に至っては、漢文学が隆盛となって、書札の文章に純粋の漢文を交えるものも現れ、その文範を示す文献も作られた。藤原明衡の撰述した明衡往来文又の名雲州消息は、平安時代中期に於ける書礼の文例を挙げたものと見るべきである。爾後所謂往来物と称せらるるものが多数作られた。此等の往来物は、何れも文書作成上の参考とされたものと云われている。とのことです。