武田信玄の印判状の龍の頭は随時向上したのではない

それはこの図版の印の方が、龍の頭がうは向になっているが、天文十二年以後改めたものは、龍頭が幾分下方に向かっている。叱らばこの両型の印が何時変わったかと調べて見ると、弘治元年十二月と翌二年六月との間に改刻したことが判る。従って龍の形に於いて、この期間を境として、先のものはその頭が幾分下向であるのに対して、後のものは上向になって来たと云うことになる。即ち時代が新しいものに龍頭の向上が現れていることは事実であるが、随時向上した形跡は認められない。とのことです。