正圓の中に昇龍の形を書いた武田信玄の印判

信玄の文書に印の現れたのは、その治国の最初からで天文十年に始まる。その時の印は、正圓の中に昇龍の形を書いたもので、その龍の頭は全然直立している。この印を用いた期間は極めて短く、既に天文十二年の文書には最初のものを改めて、別個の印を捺している。而してしの形像は同じく昇龍ではあるが、先のものとは全く相違している。何気なく見ると、この図版の文書に捺したものと同型と思われる程のものである。然し両者を子細に対比すると、この両印の間にも相違が現れている。とのことです。