北条家の虎ノ印判に対抗したと思われる上杉家の獅子の印判

印は日附の上部に捺してある。この印は朱印、上部は獅子の画で、印文は地帝妙の三字から成っている。地蔵菩薩帝釈天妙見菩薩の各名号の頭字をとったのである。先に記した如く、景虎が永禄三年上杉家の勢力回復の為、始めて関東に出陣した時、武蔵相模両国の社寺に出した軍勢乱妨停止の禁制に捺したものが、矢張りこの印であった。この印は景虎の印の始めてのもので、而もそれが関東に転戦して出した文書に始めて現れているのは、何か偶然で無いように思われる。敵勢たる北条軍の虎ノ印判に、獅子の印判で対抗したのではなかろうか。とのことです。