この綸旨の料紙は、薄き鳥子の白紙を用いられ、而もその大きさ縦三寸、横三寸四分に過ぎない小型の切紙である。(図版は原寸大に示してある。)とのことです。
差出者受取者何れかが女子であると仮名交じり
それが奉書御教書になると、奉ずる者が女子であると仮名交じりであり、充所が右の綸旨の如く女子であると仮名交じりのこともあったのである。要するに差出者受取者何れかが女子であると、そこに仮名交じりの文章が用いられたのであって、之は消息書状、奉書御教書に限らず、平安時代末期以後の文書の全体に亙る慣習となっている。とのことです。
充所が女子ならば仮名交じり
尚お右の綸旨は、文章が仮名交じりとなっている。之は充所が婦人であるから、かような文体をとったのである。消息書状は差出者が女子なれば、必ず仮名交じりであり、又男子が差し出したものでも、充所が女子であれば又仮名交じりであった。とのことです。
薄墨の綸旨
この綸旨の料紙は、宿紙を用いている。綸旨は多く宿紙即ち漉返紙を用い、この紙の漉返したために、その色彩が薄墨色を呈しているところから、この紙を薄墨紙と申し、これから更に薄墨の綸旨と云う言葉も起こっている。とのことです。