藤原佐理の花押

この書式は、正倉院文書啓状の第一二式に当たるものである。然しその書出しに差出所を記す場合名を真行書を以て書かず、図版に見る如きものを書いている。之が即ち花押である。奈良時代に於いて垣守謹啓と書いた如く佐理謹言と書くべきを、その実名に代えるに花押を以てしたのである。この花押は、比較的早い時期のもので、佐理の草体を更に形体化したもので、名を草書に書いた草名との中間にあるものと見ることができる。とのことです。