遠方から送った書状が如何にして作られたか

事実文中にその案文を家久の許に送ったと書いてある。これは当時遠方から送った書状が如何にして作られたか、その一の方法を知るべき上に貴重な資料と申さんえばならぬ。又かような場合、判紙に捺す花押は如何なるものであったろうか。かかる場合には花押の判型を用いて、それを塗ることを便利としたかとも考えられる。兎に角かかる点にも注意すべき資料である。

 以上列挙した文書に就いて見るも、書状類が如何に史料として役立つか、別して所謂戦国時代に於いては、政治戦争等に関する極めて重要な意味を持つ史料が如何に多いかを会得せらるるであろう。とのことです。