男子充てなのに名字の一字が仮名書きになっている文書

一〇 名字と花押とを書いたもの

先づ〔一〕の如く、書止めに何々「也」と結ぶものがある。この文書は、豊後の大友義鑑のもので、特に差出所に名字の上の字を仮名で表しているのは注意を惹く。先にも述べた如く、男子から女子に充てた文書には、名字を全部仮名で表すもの、若しくは上の一字、或いは下の一字を仮名にて表す書礼があった。この文書は充所に見る如く、男子に充てたものであるから、名字の一字が仮名書きになっているのは不思議に感ぜられる。とのことです。