将軍の実名を印文に用いている江戸幕府の朱印状

  ろ式 日附が年月日から成り、充所を具えないものもある、江戸幕府の朱印状が多く之である。その一例として〔五一一〕の如きがある。これは天和二年将軍綱吉が、駿河富士郡泉村の農民五郎右衛門の孝行を表彰する為に、之に田畑を与えた時の朱印状で、印文「綱吉」とある正圓の印が、日附の次行に捺してある。先の信長の掟書と同じ書式を具えている。三代家光から、この印の如く、将軍の実名を印文に用いるようになった。とのことです。