充所を始めに書いている啓

第九式

(略)

この文書は巾引諸直と云う者が、稻持と申す人に、病人が二月九日に死去し、ために忌中であるから、一七日の後一六日に参向する由を告げるために出したものである。その書式の特徴は、充所を始めに書いているところにある。充所の中、謹進上は後世の書札礼で、上所と云うものに当たっている。

この種に入る文書としては、日附に年号を欠いている啓もある。部類〔二四三〕はそれである。