充所、後世の書状消息と同じ位置のものが最も多い

次に充所に就いて記述する。充所を持っている文書は、前掲の如く第六式から第一四式に至るものである。充所を表した位置に就いて見るに、第六式から第九式迄は、本文の第一行目に書いてある。この上に差出所の有ると無いとの両様になっているが、これは別に先方に敬意を表していない意味があるようにも考えられない。公の文書の書式にその体裁が一致し、或いは之に似ていると見るべきである。第一〇式の充所は、日附の前行であって、類の無い書き表し方である。第一一式以下の充所は、後世の書状消息と同じ位置にある。要するに、充所の位置も、差出所の位置と同様種々になっていた。然し、後世の書状消息に於けるものと同じ位置のものが最も例が多い。古い時から之が広く行われていたのである。而してこの形式が永く後迄続き、それが一般化したことを知る。とのことです。