伊勢貞宗が善法寺殿局阿茶局に充てた奉書

次に〔一三〕の如く書止めに「かしく」と結んだものがある。之は伊勢貞宗から善法寺殿の局阿茶局即ち女子に充てた奉書であるから、名字も上の一字仮名で書き本文も仮名を用い、自然書止めに「かしく」と書いた次第であるが、之に年号が附いているのは珍しい例とすべきであろう。尚〔一四〕の如く「謹言」、〔一五〕の如く「恐々謹言」、〔一六〕の如く「恐惶謹言」、又〔一七〕の如く「恐惶敬白」と書き、上所をも附けて大いに敬意を表したものがある。更に〔一八〕の如く披露を請う形式に表して書止めに「某誠恐頓首謹言」と結び、至極鄭重な書礼を具えているのもある。とのことです。