武家では書札様文書が公文書化した

要するに武家に於いては、公式令以来の公文書の如き手続を要する文書が無く、多く書札様の文書を以って、各種要件を通達すべき公文書としていたのである。従って書式は書札様の文書そのままでありながら、それがそのまま公の意味を多分に発揮するところに、直筆から右筆へと変化する機縁が生じ、この傾向が発展し、中世に於ける古文書全体の書札様化と云う情勢に応じて、益発展して来たと見るべきであろう。畢竟これは武家の社会に於ける書札様文書が公文書化する現象の間に起こった特殊の事実と考うべきである。とのことです。