2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

文書を授受する場合

ちょっと今いる位置を見失いそうになったので、復習してみましょう。 いまは、 前編 古文書の伝来 の 第二章 本質上の働きに依る古文書の伝来 の 第二節 文書の案文とその伝来 の 第三 文書を授受する場合 です。 源政茂・時重が、ある領地の三分の一を東寺…

訴訟等の証拠として出す案、具書案

訴訟に限らず諸事言上する時、その據るところの文書の案を具へて出す。かゝる案文を特に具書案と云ふ(p.17) この具書案によって古文書が伝わることはかなり多いとのこと。さっそく下久世庄百姓等陳状并具書案を読んでいきましょう。 うむ。長いですね。 で…

文書の写しすなわち案文

写しすなわち複本を作ることがある。この写を古く案若くは案文と称している。以下便宜之を案文と呼ぶこととする。(p.13) どのような場合に案文が作られるか、5つの例が挙げられています。 第一 文書布達の必要に依る場合 第二 文書を使用する場合 第三 文…

草と案について

下書を古く草、若くは案と称した。(p.10) 案についてはさらに、 正文を写した複本をも呼ぶものとなっている(p.11) ので、この本では、下書はすべて草、もしくは草案とよぶことにしている、とのことです。 記念すべき第一号の文書は、東寺預所頼圓奉書草…

いよいよ本編に入っていきます

前編 古文書の伝来は、以下の四つの章から成っています。 第一章 古文書伝来の素因 第二章 本質上の働きに依る古文書の伝来 第三章 応用上の価値に依る古文書の伝来 第四章 古文書伝存の現状 二章・三章あたりどういうことなのか気になりますね。おなじみ佐…

『日本の古文書』をめぐる人びと

上巻例言で筆者は、恩師黒板勝美博士、辻善之助博士の名を挙げています。同巻あとがきは、三成重敬(みなりしげゆき1874-1962)丸山二郎(1899-1972)の連名となっていて、二氏が黒板博士の意を体して本書執筆をうながしていたことが記されています。さらに…

全体を大観する

細かい立ち入った分析や検討に入る前には、まず全体を大観しておくこと―歴史研究にとってもいつも忘れてはならない注意なのだ 石井進『中世の村を歩く』p.78 との言葉が示すとおり、精読に先立ってまずは本書の成り立ちを大観してみようと思います。 まず本…

はじめのつまづき

このブログでは、相田二郎『日本の古文書上・下』を読んでいきます。 大部なだけに最初からじっくり精読していくか、野口悠紀雄さんのパラシュート勉強法のように気になったところからとりかかっていくか迷うところですが、とりあえずまじめに最初から読んで…